第13章 狂愛
409号室のインターホンを鳴らすと、インターホンから少年の声が流れる。
『……はい』
「こんにちは。えっと、学校から電話があったと思うんですけど……」
『あ、はい……』
随分と憔悴しきった声が聞こえた後、ドアが開かれた。
少年の顔はやつれ切っていた。
私達の顔をみるなり、安心したような顔になりそしてぐっと唇を噛んで眉を寄せた。
泣くのを我慢しているのだろうか。
家の中に入り、リビングに通してもらう。
メゾネットタイプのマンションらしく、2階は彼の部屋と両親の部屋があると言う。
両親は今、仕事に行っているらしく家には彼一人。
「とりあえず、名前教えてもらえる?」
「あ、斎藤廉です」
「廉くんね」
ソファに座り、私たちはお互いに自己紹介をした。
斎藤廉はずっと下を向いたままで、顔をあげたかと思えばきょろきょろとあたりを見渡している。
その様子を見ながら、私は彼の後ろにいる呪霊に目を向ける。
長い髪の毛のようなものを垂らし、斎藤廉に纏わりつくような形で彼を呪っている。
今すぐにでも祓いたいけれど、呪われた経緯を知りたい。