第12章 じゅじゅさんぽ【Vol.3】
「同期が死んで、親友を殺して、こんな僕でもちょっぴり傷付いた」
「………傷付いたなら、恨み言の一つや二つでも言えばよかったじゃん。多分、お兄ちゃん、お前の呪いなら素直に受け入れたと思うよ」
「だからだよ」
空を見ていた五条悟はゆっくりと視線を私に向けた。
黒い布が邪魔で、今こいつがどんな顔をしているのかわからない。
だけど、その布を取ろうという気なんか起きなくて。
私は五条悟の言葉に耳を傾ける。
「たぶん、僕ならできちゃう。傑を呪霊として縛り付ける事が」
乙骨憂太がそうであったように。
五条悟が呪いをかけさえすれば。
でも、男はそれをしなかった。
「この世界で笑えないって言った人間を縛り付けるほど、僕はクズじゃない」
「……そっか」
なんて言えばいいのかわからなかった。
私なんかよりも、こいつの方がお兄ちゃんをちゃんと知ってるしよく見てる。
コイツがそう言うなら、そうなんだろう。
「お兄ちゃんさ、最期どんな感じだった?」
「僕の渾身の決め台詞を聞いて爆笑してたよ」
「ふは、お前何言ったんだよ」
「それは僕と傑と二人だけの秘密」
「ふーん」