第12章 【じゅじゅさんぽ】Vol.3
すると、ようやく五条悟は口を開いた。
きっと話すべき内容を考えていたのかもしれない。
歯切れ悪い物言いがそれを物語っている。
「うーんとさ、はさ、あー……」
「なんだよ、言えよ。何、今さら私が傷つくとでも思ってんのか?」
「いや、それは思ってない。思ってないけど、言いづらいこともあんでしょーが」
「いいから言えよ。気になりすぎて気持ち悪いわ」
「じゃあ、言うけど。傑に妹がいるってこと僕も硝子も学長も知らなかったんだよ」
………は?
何を急にいいだすんだ、こいつ。
「お前があの日、僕を殺しに来た時あったろう。その時にはじめて知ったんだよ。傑に妹がいたこと」
お兄ちゃん、私のことこいつらに話していなかったのか。
呪術界に来てほしくないみたいな思いもあって家族のことはあまり話したがらない人もいるけど。
そう言う事なのかな。
「僕さ、傑を殺す時に聞いたんだよ。"何か言い残すことはないか"って。そしたらあいつ"この世界では心の底から笑えなかった"って言ったんだ。それしか言わなかった。お前の名前すら出さなかったんだよ」
………何が、言いたいんだろう。
夏だと言うのに、手足が冷たい気がするのはなんでだろう。