第12章 【じゅじゅさんぽ】Vol.3
――夏油――
「お兄ちゃんを呪おうとは思わなかったのか」
虎杖と地下室で映画を観て、一緒に飯を食った後。
私は五条悟に送られるように寮へ続く道を歩いていた。
その時、ふと口から出た言葉。
乙骨憂太が祈本里香を呪った話を以前聞いた私はずっと考えていた。
五条悟がお兄ちゃんを呪えば、どんな姿であろうとお兄ちゃんは呪霊として縛り付けることができたのではないかと。
「……少し、話そうか」
五条悟は、私の手を引いて高専の外へと出た。
ああ、聞かれたくない話なんだなって分かって大人しく引っ張られてやった。
高専から少し離れたところに、よくわからない空き地のような場所がある。
ベンチに座る五条悟は、隣に座れと言わんばかりにベンチを手で叩いた。
私はなにも言わずに、五条悟の言われるがまま隣に座る。
どこからか蛙の鳴き声が聞こえて、それだけだ。
それ以外の音と言えば私と五条悟の呼吸音のみ。
静寂が流れて、いつこいつは話をしてくれるんだろうと、そればかりが脳ミソを支配する。