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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第11章 試行







目を見開いたまま、お互いに身体を離す。
虎杖の瞳はどこまでも真っすぐで、ああ、幻聴じゃないと頭の隅っこの私がぼそりと呟く。

「………冗談、とかじゃ」
「冗談で告白するわけないじゃん」
「だよねー」

虎杖はそういう奴じゃない。
どう返事をすれば、いいのか。

虎杖のことは嫌いじゃない。
むしろ好き、友達として。
そう言う風にこいつを見たことは一度も無くて。
でも、こうやって気持ちを伝えてくれたことは素直に嬉しくて。

固まる私の頬を虎杖は優しく大きくて暖かい手で包んだ。
そしてゆっくりと顔を近づけて。
唇と唇が重なった。

重なるだけの、キス。
五条悟とはもっと濃厚なキスをしているはずなのに。
慣れているはずのキスなのに。
私の顔は真っ赤に染まって、心臓が、痛い。

「はは、顔真っ赤」
「お前のせいだろ」
「ごめん、勝手に身体が動いた。嫌じゃなかった?」
「その聞き方はズルいだろ。嫌だっつったらどうすんだよ」
「んー、土下座して詫びる?」
「ははは、じゃあ土下座して」
「え、嫌だった⁉」

慌てふためく虎杖が面白くて、お腹を抱えて笑った。
嫌じゃない、嫌じゃないから困る。
なんだ、この気持ち。
苦しくて、嬉しくて、悲しくて、温かくて。
ぐっちゃぐちゃしてる。




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