第11章 試行
「てか、私どうやってここに戻ってきたの」
「五条先生がオマエを抱えて戻ってきた」
「あー、成程」
「びっくりしたわよ。殺されかけたんだって?」
「殺されかけてはない。殺しかけただけ」
「物騒ね」
私は残り一切れとなったピザに手を伸ばした。
この二人が食ってる姿見たら腹減ってきた。
一口食えば、濃厚なチーズとトマトソースが口の中に広がって、食べるスピードが上がった。
うまっ。
ピザを食い終わったあと、私は二人に怒られた。
「気を付けろって言ったわよね」
「ごめん」
「死ぬ目に遭うなよな。心配しただろ」
「ごめん」
「カラオケ行けなかったし」
「ごめんってば」
そういう会話を繰り返し、言いたいことを言えてすっきりしたのか二人は医務室を後にした。
見舞いと言うよりは文句を言いにいきたのと、ピザを食いに来ただけか。
それでも私のことを心配し来てくれたのなら、少し嬉しい。
私はもう一度ベッドに横になる。
真っ白な天井を目に映し、少しずつクリアになっていく記憶。
ああ、そうだ。
私はあの女の復讐のために殺されそうになったんだ。