第11章 試行
そこではっとした。
この任務はブラフだ。
はじめから自身が狙いだったのか。
だとしたら、早く見つけないといけない。
呪霊を祓ったあとに怪我かなにかがあって倒れたんじゃないかって思っていたが、もし呪霊ではなく呪詛師が絡んでいるとしたら、厄介だ。
の呪力の残穢を感じないのは、呪詛師の術式の影響なのかもしれない。
だとしたら、残穢が見えないのもうなずける。
この教会内を走り回って探す時間はない。
僕はスマホを取り出しに電話を掛ける。
が出てくれればいいが、呪詛師によって壊されている場合もある。
が、ダメもとだ。
コールが僕の耳に鳴り響く。
スマホは壊されていないようだが、出る気配がない。
その時、静まり返った教会の中で微かにどこからか音が鳴っているのが聞こえた。
これは、電話の音……。
プツリ、と切れた通話をもう一度かける。
プルルルル……プルルルル……。
小さく聞こえる音を頼りに僕はその場所へと向かう。
そして音の出る部屋を見つけた。
教会の礼拝堂の奥。
そこから音が鳴っている、というよりは反響していると言えばいいのだろうか。