第11章 試行
――五条悟side――
からの電話を受けた僕は急いで現場へと向かう。
事務仕事をしていた伊地知を拉致し、東京駅まで送ってもらい新幹線に乗り込む。
現地へ着くまでの間、僕は気が気ではなかった。
スマホが落ちる音と地面に倒れる音が未だに耳にこびりついている。
一体任務先で何があったと言うのか。
新幹線の速さですら遅いと思うのは、僕の気持ちが急いているからだ。
静岡に着き、任務先である廃教会へと足を運ぶ。
外見も雨風にやられているのかところどころヒビが入っていたり、草木が覆っていたりとずいぶん長い間放置されていたと言うことが分かる。
中もまた落書きや物が散乱している。
それらを踏みしめながら気づいたのは、どこにもの残穢を感じないこと。
「…………」
呪術を使っていない、のか。
それどころか呪霊の気配すら感じられない。
祓ったとかの問題ではなく、元々ここには呪霊はいない……。
じゃあ、なんのための任務だったんだ。
変死体と行方不明者が続出しているこの廃教会は有名な心霊スポットとして若者が面白半分に肝試しに来ているという情報は僕の耳にも届いている。
呪霊に呪われた可能性が高いため、はここに来た。
しかも名指しで。