第11章 試行
私の領域は解かれ、男と同様私もその場に倒れる。
確かに、これは呪力の消費が激しい。
全然足に力が入らない。
でも、ここで寝る訳にはいかない。
いつあの女が戻ってくるかわからないし、男の止血しなきゃ。
最後の力、ではないけれど。
ぐっと腕に力を篭めてゆっくりと立ち上がる。
興奮状態であったため血圧が上昇し、それが一気に緩んだせいで、私の鼻や口から血が零れだす。
脳ミソもガンガンして痛い。
絶対血管どこかしら切れたな、なんて呑気な事を考えながら、私は男に近づき右腕から流れる血を男が着ていた服を使って止血した。
気絶している男が目を覚ましても襲ってこないように、腕と脚をベルトで縛った。
零れる血を拭って、私はあの女を追いかけようとしたら運よくあっちから来てくれた。
女は目の前に広がる光景に驚いているようで大きく目を見開いている。
その隙に女の首に手刀を入れて気絶をさせた。
目覚めた時暴れられても困るから、そこら辺に落ちていた布で両手両足を拘束し男の隣に放置。
全ての作業と言うか任務と言うか、それが終わったことを伝えるために私は、ポケットからスマホを取り出して電話をかけた。
一回、二回、とコール音が鳴り響く。
三回目のコールで、相手と繋がった。
≪もしもし、?≫
「………任務、」
≪……?≫
あ、駄目だ。
全部終わって安心したのか、意識が遠くなっていくのが解る。
かしゃんとスマホが地面に落ちて、同時に私も床に倒れた。
そのまま私は、爆睡をかました。