第11章 試行
私の領域内は、いくつもの南京錠が並んでいて、その一つ一つには文字が書かれていている。
「Brain」「Heart」「Liver」という器官を示す単語や「Arm」「Leg」「Finger」という身体の一部を示す単語が並んでいる。
私は鍵を取り出し、「Right arm」と書かれた錠を開けた。
瞬間男の右腕が、弾け飛ぶように下へと落下する。
「え?」
「開錠すれば、繋ぎとめていたものが外れる。逆に、施錠すれば、流れている物を止める。こんな風に」
次に私は「Left foot」と書かれた錠に鍵を差し込み、右手を外側へと回す。
そうすれば錠には鍵がかかり、男の左足は血液も流れなければ神経すら通らない。
バランスを崩しその場に倒れる男。
「もう一つ、破錠って言うのがあるんだけど。使ってみる?」
「や、やめ……」
「生殖器ってなくても生きていけるらしいよ」
私は「Testicles」と書かれた錠に鍵を差し込み、「破錠」した。
男の断末魔のような悲鳴が響き渡り、そして静かになった。
………勘違いで、人って気絶するのか。
初めて知った。
睾丸を破錠するわけないだろ。
死ぬぞ、下手したら。
ただ鍵を差し込んだだけだ。
私は錠から鍵を引き抜いた。