第11章 試行
男は私にまたがると、再び首に顔を埋め何度も私の首を舐め続ける。
「い"っ!!」
「おや、すみません。強く吸い付きすぎましたね」
男が吸い付いた場所は、鬱血痕が浮かび上がった。
まじか、こいつ。
最悪な事してくれた。
「本当はもっと楽しみたかったのですが、時間がありませんので」
「……うそ、だろ」
男はカチャリとズボンのベルトに手を掛けた。
まじだ。
マジでコイツ私を抱き殺す気だ。
嫌だ、知らない男に抱かれた後に死ぬなんて。
知らない女の計画通りに死ぬなんて。
そんなの、絶対に、嫌だ。
私は、ぎりっと奥歯を噛みしめ拘束が解けた腕で男の腹を殴りつける。
衝撃で怯んだ男を蹴飛ばし、ようやく私は自由の身となった。
咳込む呪詛師は自分のプライドを傷つけられ、怒り狂ったような表情をしている。
呪符を取りだし攻撃しようとする男。
だが、私の方が少しばかり早かった。
「領域展開"永久錠"」
無我夢中だった。
何も考えていなかった。
ただ、この状況を早く打破したくて。
私は印を結び、自分の領域を広げた。