第11章 試行
男は一度手を叩くと、ここまできたご褒美だと言って事の真相を教えてくれた。
変死体、行方不明者は全てこいつの仕業であることは間違いない。
ここにやってきた人間を全て殺したと言う。
「貴女は気づきましたか?私は男を変死体、女を行方不明者として処理していたんですよ」
「ああ、気づいていたよ。なんでそんなことをしたのかは知らねえけどな」
「単純な話ですよ。男を抱くのは趣味じゃない」
「………は?」
「と言っても、顔がタイプであれば男も抱きましたけどね」
面白おかしく笑う男に、私の頭は混乱している。
自分の欲求のために女を抱いて、男は殺したのか。
こいつ、イカレてやがる。
「男はやっぱり駄目ですね。殺す時に汚い声を出して。それに比べて女の叫びは最高でした。私の熱情が昂って仕方がありませんでしたよ」
「…………」
「四肢を捥がれて泣き叫ぶ女性の膣は随分と気持ちがよかった」
「…………お前の下衆な下事情を聞くためにここに来たわけじゃねえんだよ。なんでこんな事した。何が目的だ」
「目的……?そんなものありませんよ。私はただ頼まれただけです。夏油を殺すために、餌として彼らを殺した。それだけですが?」
頼まれた?
あの人って言うのが、関係しているのか。
「あの人って誰だ」
「まだわからないんですか。随分と鈍感でいらっしゃる」
深いため息と共に。
階段から足音が聞こえた。
ゆっくりと鳴り響くその音に。
私は視線をそっちへと向けて、目を見開いた。