第11章 試行

新幹線でおよそ2時間。
静岡駅に着いた私は補助監督の車に乗り込む。
渡されたタブレットに今回の任務についての詳細が載っているため目を通す。

簡単に内容を言えば、心霊スポットとしても名高い廃教会をここ最近若者たちが遊び半分で侵入し、そして行方不明または変死体となって見つかっているとのこと。
呪霊によって呪われた可能性が高く、祓わなければまた犠牲者が出てくる。

廃教会に行った人数をリストアップされた資料を見たけど、正直に言うと、多すぎて読む気失せた。

「なんでこんなに多いんだよ……」
「あー、それ多分とある配信者が原因かと思います」
「配信者？」

補助監督の女性が「はい……」と小さく返事をするとその動画を教えてくれた。
近くのコンビニに車を止めて、私と補助監督は一緒にその動画を見ることに。

男4人組で心霊スポットを巡るという単純な動画内容。
チャンネル登録が15万人超えるほどの有名な配信者らしくコメント欄もえげつないほど多い。

「成程、これに感化された若者がこの教会を訪れるようになったと」
「だと思います。彼らをきっかけに心霊系の配信者が増えましたから」
「それで呪われても自業自得って思いますけどね、私は」
「………」

それでも私は呪術師だ。
呪いを祓うためにここに来たのだから、きっちりと仕事はする。