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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第10章 人形







帳の外に出れば、伊藤さんの隣になぜか五条悟がいた。
ニコニコと笑って手を振っている。
東京に戻るって言ってたのに、なんで……。

聞きたいことはいっぱいあったけど、私は自分の腕の中の存在を思い出し、伊藤さんに渡す。

「事故として処理をお願いします。友人2人には説明はしてありますが再度、説明の方もお願いします」
「わかりました」

伊藤さんに西崎美優だったものを手渡す。
他の呪術師や窓が処理をしに来るまでの短い時間。
私は、道端に咲いている野の花を幾つか摘み、先ほどのベンチまで戻る。

私の後ろを五条悟がついて来るが、私は完全に無視をし彼女のいたあのベンチに花を添えた。
呪骸とはいえ、彼女には心があった。
ちゃんと呼吸をしていて話をして夢を語って。
ちゃんと生きていた。
その生きていた時間は彼女は人間だった。
呪術で作って呪術で死なせてしまった……紛れもない人間。
せめてもの償いとして、いつかまたこの世に生を受けた時にはちゃんと幸せを掴んでもらうため。
私は静かに手を合わせた。

暫くそうしていると、呪術師たちがやってきて処理を始める。
私の任務は終わった。
踵を返して、五条悟の横を通り過ぎる。
さっきと同じよう男は私の後ろをついて歩く。
何も言わずに、ついてくる。
それが嫌で、何か言いたいことがあればいいのに。
何も言わないその姿勢にムカついた。

「なんだよ……」
「なにが?」
「何か言いたいことあんじゃねえのか」
「別に。何も言う事はないよ」
「だったらなんでついてくんだよ」
「高専に戻るから」
「…………」

当然の返答に私はこれ以上何かを聞いても意味がないと思った。
こいつがここにいる理由は知らないけど、聞くのも面倒だ。
早く高専に戻ってシャワーを浴びて寝よう。





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