第10章 人形
「西崎美優は、人間じゃない。呪骸だよ」
「じゅ、がい……?」
馴染みのない言葉に二人は眉間に皺を寄せ私を見る。
「簡単にいえば、呪いの人形というべきかな」
「人形……?何言ってんの……。だって、美優は……」
「この人の言っていることは本当だよ。私は人間じゃない。死んだ肉体に魂を吹き込まれてできた代物」
「うそ……でしょ」
信じたくない気持ちはわかる。
だが、紛れもない真実。
私と西崎の反応を見て、彼女たちはそれが嘘ではないと理解し、顔を歪めた。
溢れる涙はボロボロと零れ、地面を濡らす。
その反応が、お兄ちゃんの死を知った時の私と同じで思い出してしまった。
受け入れる事ができない。
認めたくない。
だけど、目の前の出来事が本当だからこそ、ぐちゃぐちゃになる。
「初めて貴女に会った時、怖かった。あれは死ぬことの怖さだった。私はそれを思い出したんだ。雰囲気がとても似ていたから」
同じ呪術師だから、だろう。
彼女は泣き崩れる友人に近づき、優しくその肩に触れた。