第10章 人形
「はぁ~、終わった」
大きく伸びをしながら僕と七海はアジトを後にする。
正直、思った以上に早く事が片付いた。
呪詛師―――人形師というべきかな。
あまりにも弱すぎる相手だった。
これだったら恵とかでも倒せたんじゃないかな。
そんなことを思いながら、僕と七海はバーへと足を運ぶ。
「いや、あなたは夏油さんのところに行ったらどうですか。まだ、あっちが片付いてないでしょう」
酒の入ったグラスを煽る七海が正論をかましてきた。
僕、正論って嫌いなんだよね。
自分が言うのはいいけど、言われるとちょっとムカつかない?
「七海も見たでしょ。あの人形師が死んだ時、人形も動きを止めた。解呪されたってことはあっちも当然動いてないって」
「……そう、でしょうか」
心配性だな、七海は。
だから禿げるんだぞ。
「……何か失礼なこと考えてませんか?」
「七海は将来禿げるなって」
「ぶっ飛ばしますよ」
ケラケラと笑いながら、僕はノンアルコールを注文し喉を潤す。
そして七海と貴重で真面目な話を始める。
虎杖悠仁のこととそして夏油のことを七海に任せたいというお願いという名の頼みをする。
多忙である僕には精神的な成長のケアまでは手が回らない。
特に精神面ではは断然的に弱い。
だから七海に預ける必要があると判断した。