第10章 人形
――五条悟side――
「今の電話は……」
電話が切られたスマホを見つめていると、七海がサングラスのブリッジを上げそう聞いてきた。
「お察しの通り、夏油傑の妹からの電話だよ」
「………」
「どうやら、の方にも僕たちの案件が行ってるみたい」
「今の会話でなんとなく察しました」
「さっすが七海!」
「早く片付けましょう」
「いや、少し様子を見るよ」
眉間に皺を寄せ怪訝な表情で僕を見る七海。
そりゃそういう顔にもなるか。
今回の案件は、"もしかしたら"一級または特級の呪詛師が絡んでいる可能性がある。
いくらが準一級で天才と言われているとはいえ、手に余るものだ。
僕としても早く駆け付けたいところだが、少しの賭けをしてみる。
「はきっと大丈夫。特級相当の呪詛師が絡んでいるかもしれないけど、が見たのは呪骸だから」
「……信頼、しているんですか」
「まあね。なんてたって僕の生徒だから」
それだけを言って僕と七海は呪詛師がいるであろうアジトへと踏み込む。
それに明日の朝一で駆け付ければなんの問題もない。
問題があるとすれば、焦って事を急いていないかどうか。
僕の予想だと、絶対に呪骸と接触すると思う。
まぁ、何かあれば連絡してくるでしょ。
傑と違ってこういう所は真面目だからね、あの子。
「さて、行きますか」
指の骨を鳴らして、口元を大きく歪めた。