第10章 人形
≪伊地知から話は聞いたよ≫
「……オマエから電話か来るって事はヤバい案件か?」
≪そこそこにね≫
電話口で五条悟は真面目な口調で教えてくれた。
どうやら五条悟は今北海道にいるらしい。
五条悟ともう一人の術師とでとある案件を追っていると言う。
その案件が私の任務と似ていると言った。
「その一級呪術師が出るような任務ってことは、呪霊も一級または特級ということか」
≪相手は呪霊じゃない。悪徳な呪詛師または"もどき"絡みだって聞いてる≫
「…………」
呪詛師。
その言葉を聞いて思い浮かぶのは兄の姿。
だが、兄は既に死んでいる。
関係ないとは言え、それでも気にならない訳じゃなかった。
≪が見たのは呪骸なんだね?それは間違いない?≫
「間違いない。女子中学生だ」
≪中学生……?≫
「そう、だけど……」
何か変な事を言っただろうか。
五条悟の声色が低くなった。
話を聞くと、首謀者であろう呪詛師はサイトを設立し在るものを販売していると言う。
その在るものというのが。
「―――死者の蘇生?」
何をバカなことを言っているんだ。
耳を疑ってしまった。
≪死者の魂を呼び戻す"新しい器"……だっけ?合ってる?はん?反魂人形……?とかって名付けられてるみたいだよ≫
スマホから五条悟以外の声が何回か聞こえてきた。
五条悟も確かめる様に聞いているからもう一人の呪術師も側にいるのだろう。