第10章 人形
駅からその中学校まではどうしたって車が必要になる。
補助監督が来るまで待機しようと思い、無人駅のベンチへと腰を掛けた。
迎えが来るまでの暇な時間、私はなんとなしに電車の時間をざっと見た。
次の電車は2時間半後。
なっが……。
バスはどうなんだろう。
バスの時刻表を見れば、今日の分は既に終わっていた。
というか、待って。
「一日2本しかないのかよ……」
しかもその2本は朝の7時と8時のみ。
想像以上のド田舎だ。
私の中の住みたい都道府県ランキングが揺らぎそうになる。
これは確かに車は必須だな。
じゃないとどこにも行けやしない。
そんなことを思いながらベンチに再び腰をかけ待つこと数分。
漸く補助監督の車が見えた。
車に乗り込み、目的の中学校まで向かう。
「どのくらいかかるんですか」
「大体、40~50分ですね」
「……なっが」
「あはは、田舎ですから」
中学校からの最寄り駅がここだと言うのだから末恐ろしい。
バスの時間が2本しかなく、しかも朝のみなのはそういうことか。
夜は親が迎えに行くシステムらしく2年前に夜の運航はなくなったという。
「不便ですね……」
「住めば都ですよ。それに、ここの地域の人たちは子供たちのこと大体知っているので、犯罪などに巻き込まれにくいんです」
「あ~、田舎ってそういうコミュニケーションありそうですね」
そんな会話をしていればあっという間に中学校に着いた。
コンクリート造りの2階建て。
全校生徒137人。
単純計算して1学年45人。
高専よりは断然多いな。