第10章 人形
――夏油side――
青森県某所。
山の麓にある小さな町に私は今任務で来ていた。
コンビニまで片道車で40分弱。
そんな辺鄙な土地ではあるが、東京都は別世界のこの町に私は魅かれていた。
まず空気がうまい。
そして緑しかないため目に優しい。
東京とは違い、昼間も穏やかでのどかで時間の流れがゆっくりと感じられる。
何より夏の季節だと言うのに涼しい。
47都道府県でド田舎ランキングがあれば堂々の一位を飾るであろうこの県。
だが、私の中の住みたい都道府県ランキングでは殿堂入りを果たす程気に入った。
これで任務が無ければ観光でもするのだが。
私はスマホに目を移し、今回の任務を確かめる。
とある中学校に呪霊がいる可能性があるから確かめて欲しいと書かれていた。
そんなの私じゃなくてもいいだろうと思いながらも、人手が足りないのだから仕方ないのかと無理やりに納得をした。