第9章 領域
「落ちこぼれはお互い様だろ。オマエだって物に呪力篭めるばっかりで術式もクソもねぇじゃねぇか」
「呪力がないよりましよ。上ばかり見てると首が痛くなるからたまにこうして下を見ないとね」
「お前ら知ってるか。そういうのどんぐりの背比べって言うんだぞ」
「確かにの言う通りだ」
あはは、と声を出して笑う禪院真希。
コイツのこういうところは嫌いじゃない。
私は、服に付いた土埃を払って、素早くぜんまいちゃんの足を払った。
バランスを崩すぜんまいちゃんを腕挫十字固を決める。
痛みで顔を歪ませるぜんまいちゃん。
「ナイス、夏油!!ソイツの制服を剥ぎ取れ!!」
「追いはぎじゃねえよ、バカ野郎」
「諦め、なさい……!!その足の長さじゃ、これは……着れない、わよ」
「はぁ⁉」
「脚が短いんじゃない、胴の方が少しばかり長いだけだ!!なぁ、釘崎!!」
「一遍ぶっ飛ばすわよ‼夏油!!」
フォローしたつもりなんだけど……。
なんで私が怒られる羽目になるんだ。
つうか、このぜんまいちゃんもなかなかにタフだな。
よくこの状態で嫌味を言える体力を持ち合わせられるもんだ。
少し見直したぞ。