第2章 恥辱
そんな1月も終わろうとしていた時期に。
私は体調を崩した。
「げほっごほっ」
「大丈夫?今日は辞めといたほうがいいんじゃない?」
「お前に、心配される筋合い、な……ごほごほっ!!」
咳を繰り返す私に五条悟はどこか心配そうに声をかけてきた。
心配なんて、されたくない。
特に目の前の男には。
だけど、そんな私の想いとは裏腹に身体はとても正直だった。
咳をするたびに頭は痛むし喉もイガイガするし、吐きそう。
筋肉もなんか痛いし、てか、全部が痛い。
私の体調を見かねた五条悟は、有無を言わさずに医務室へと私を連れて行く。
生傷を作るたびにお世話になっている女医・家入硝子という女もお兄ちゃんと旧友だと知ったのはつい最近のこと。
「インフルエンザだね。部屋に隔離。そんでしばらく五条との勝負はなし」
目の下に濃い隈を作った女はマスクを少しずらすと気だるそうにそう言った。
「インフルじゃない。嘘をつくな」
「嘘を言ってどうするよ。素直じゃないな、君」
「違う。インフルじゃない。私一回もかかったことないもん」
「今まではそうだったかもしれないけど、今そうだから」
おでこに冷えピタを貼られ、薬を渡される。
それを断固として受け取らない私。
理由は簡単だった。