第8章 修行
片づけをしながら私は、今日作ったパエリアを虎杖にも食べさせてやろうと思った。
材料はまだあるし、好評だったし。
洗い物をしながら部屋で駄弁っている声に耳を傾ける。
つか、いつまで人の部屋にいるつもりだ、あいつら。
そんなことを思っていると、パンダが狗巻棘をからかうような話し方をしていた。
「さっきとあーんしてたけど、なにそう言う関係?」
「おかか。ツナマヨ」
「手伝ってただけ?味見って本当かよ」
悪ノリする禪院真希。
何の話かと思ったら、さっきのあれか。
いや、ただの味見だわ。
狗巻棘は何も嘘言ってねえよ。
「棘、もしかしての事好きなんじゃねえ?」
「お、かか……。高菜……」
いや、本人いる前でその話すんなよ。
どんな顔して聞けばいいんだよ。
つか狗巻棘も頬を赤らめんな、誤解されんだろうが。
「虎杖は夏油の事好きだったわよね」
「ああ」
持っていた皿を落としそうになった。
なにそれ、初めて知ったんだけど。
虎杖が私を好きだと?
おいおい、この後虎杖と映画見るんだけど。
そんな話をするな、変に意識するじゃねえか。
「会って2週間かそこらだろ?短くないか?」
「なんか、一目惚れだったみたいです。虎杖から相談されてたんで、俺」
「ツナツナ」
「詳しくって……言われてもなぁ」
なんで人の部屋で恋バナが始まってんの?