第8章 修行
「あのさぁ、本人目の前にしてその話やめね?私どんなふうにしてその話聞けばいいんだよ」
これ以上は聞くに堪えなくて、首を突っ込んだ。
「別にいいじゃん。虎杖いないし。夏油は虎杖のことどう思ってたの?」
「ねえ釘崎、人の話聞いてた?」
「いいじゃん。恋バナしようよ」
「いや、しないから。つか部屋戻れよ、お前ら」
「うん、恋バナ終わったら帰る」
当り前でしょ、みたいな顔をする釘崎。
禪院真希やパンダは面白可笑しそうにケラケラ笑って、狗巻棘は困ったように眉を寄せてる。
伏黒に至っては今にも寝そう。部屋戻って寝ろ。
「で、虎杖の事どう思ってたの?」
「別に普通だよ。いい奴だなって」
「あ、これ虎杖からもらったやつ?」
「人の部屋を物色すんなよ」
釘崎の手には、虎杖からもらったねずみのぬいぐるみのストラップがある。
高専に戻ってきたときに虎杖が一方的に渡してきたやつ。
「俺に似てるだろって言って渡してきた」
「ふ~ん、へえ~、ほ~ん」
「なんだよ、そのにやけ面……」
みんなしてニヤニヤしやがって気持ち悪いな。
伏黒に至っては寝てる。
おい、起きろ。
一応女の部屋だぞここ。