第8章 修行
部屋に戻り、風呂に入って泥まみれの身体を綺麗にした後、私は濡れた髪の毛を乾かさずに台所に立った。
冷蔵庫の中には一人分とは思えない食材がぎっしり入ってる。
本当は虎杖の分なんだけど、まぁいいか。
まだあいつんとこの冷蔵庫に食材はあった気がするし、もしあれだったら虎杖の分も作って取り置きすればいいし。
うん、その方向で行こう。
で、何を作るかが問題なんだけど。
大人数だしな。
簡単でめっちゃ食えるのがいいけど。
チャーハンとビビンバ、パエリアも作れるけど……、めんどくせえな。
どうしようかと考えていたら、ドアがノックされた。
え、もうそんな時間?
ドアを開けると、そこには狗巻棘がいた。
笑って軽く手を振る目の前の男に私は首を傾げる。
「早くね?」
「ツナマヨ」
「手伝ってくれんの?」
「しゃけ」
「別にいいのに」
ぼりぼりと頭を掻く私。
狗巻棘はずっとニコニコしてる。
とりあえず中に入れた。
「狗巻棘は、チャーハンとビビンバとパエリアだったらどれがいい?」
「ツナマヨ」
「え、パエリア……?まじかよ……」
つうか、何気に私こいつと会話成立してることに驚いてるんだけど。
おにぎりの具しか言ってねえのに。