第8章 修行
時計の針が6時を指す10分前。
私は勝手に冷蔵庫を開けて、勝手に朝飯を作って、部屋を出た。
電車に揺られ高専に戻りそのままベッドに潜って数十分だけ寝た。
虚しい。
虚しいと、感じてしまう。
もう、やめたい。
五条悟との勝負も身体の関係も。
ただ傷付くだけだ、お互いに。
殺したいけど、傷つけたくはない。
「……矛盾してら」
自分の考えに笑ってしまった。
随分と頭が悪くなったもんだ。
寝不足だからだろうか。
顔を洗って、私は教室へと行く。
既に同級生二人はそこにいて、私の目の下の隈をみて驚いていたけど、映画を観ていたと言った。
嘘は言ってない。
「映画で夜更かしとか子供か」
「あ、もしかしてあれじゃない?怖い映画見て、寝れなくなったとか」
「………違うし」
「図星かよ」
冗談交じりで言った釘崎の言葉は見事に的を得ていたが、認めたくなくて否定をするも簡単に伏黒にばれてしまった。
そんなにわかりやすいか、私。
「へぇ、夏油って怖いの駄目なんだ」
「駄目じゃないし。苦手なだけだし」
「他にも駄目なのあるでしょ」
「ない。ないもん」
「こりゃあるな」
「……なんでわかんの?」
「お前嘘つくとき、口調がちょっと子供っぽくなる」
「まじ?」
「「まじ」」
二人の言葉がユニゾンした。
まさか、そんなんで私の嘘がバレていたとは。
今度から気を付けよう。
特に虎杖のことは秘密にしろって言われていたからなおさら。