第2章 恥辱
「表に出ろ。殺してやる」
「勝てないってわかっているのに勝負を申し込むの?意外と熱血タイプ?」
「うるせえ!!」
「こう見えて僕も暇じゃないんだよ。だからこうしよう。勝負は一日一回。その際、僕は無下限を解く。ハンデとしてね」
こいつは人をおちょくって煽らないと死ぬのか?
それともそういう環境下で育ったのか?
そう疑いたくなるくらい、人を馬鹿にして煽りやがる。
だけど、五条悟の無下限を今の私に破る事はできない。
下手したらこいつが年老いたじじいになっても、破ることはできないんじゃないか。
「だから今日はおしまい。明日またチャレンジしよう!!」
いくら私が「ふざけんな」と喚いたところで、こいつは人の話を聞かないだろう。
つまり、これは決定事項で覆ることはない。
イライラするが、ここはこいつの言う事を聞いておこう。
それに勝負をしないとは言っていないわけだし。
「わかった」
「へ?」
「ただし、いつどこでどんなふうに襲撃するかは教えない。私のタイミングでお前を殺す」
「……すんなりと受け入れたね。もっと文句言うと思った」
「文句言いたいけど、人の話聞かねえじゃねえかてめぇは。それに郷にいては郷に従え。今はそれが正しいって判断しただけ」
「わ~、そういうところ傑と似てるようで似てないようで似てていいと思う」
「どっちだよ。つか、お兄ちゃんの名前を気安く呼ぶな。穢れる」
「親友なのに?」
「親友じゃねえ。人殺しだ。用が済んだら出てけ」
「え~、もっとと話がしたいなぁ」
ぶりっこのポーズをして頬を膨らませる五条悟に心底苛ついたけど、抑えろ。
ここで暴れたらだめだ。
約束は約束だ。
これ以上の攻撃はしない。
明日殺せばいい。
無下限を解くって言うんだ。
勝率は今日よりも数段上がる。
今日の分も全部ひっくるめて殺す。