第8章 修行
「どう?僕のミックスブレンドの味は?」
「例えがおっさんすぎて気色悪ぃ。おえっ」
「そんな反応される悲しいな」
「うるせえ、クソが」
「こんなを知っているのは僕だけだからね。誰にも見せないでよ」
「見せられるわけねえだろうが。そう言う趣味してねえし。つか、このこと虎杖や伏黒、釘崎に言うなよ」
「言うわけないじゃん。僕だけが知ってればいいんだよ」
「さっきからなんだよ、お前は。知るとか知らないとか」
「鈍感なのって罪だと思わない?」
「知らない」
そう言って、彼女は重たい体を起こしゆっくりとした足取りで風呂場へと消えた。
鍵のかかる音がしたから一緒には入れない。
残念。
僕は軽く息を吐いてベッドに寝転がる。
汗や液やらでべちゃべちゃになっているけど、気に留める余裕が今の僕には無かった。
僕とのこの関係に名前などない。
それはたぶんあいつも分かっている。
お互いにお互いの寂しさを埋めるだけのこの行為に意味などない事もちゃんとわかっているし、どれだけ欲を吐いても満たされないこともちゃんと理解している。
だと言うのに、なんでこんなに……。
僕はもしかして寂しいのだろうか。
親しい人を取られたようなそんな感じ、と言えばなんとなくそんな感じもするけど……。
嫉妬……?
そんな感情を持ち合わせていたことに驚きだ。