第8章 修行
――五条悟side――
おもしろくない。
単純にそう思った。
が絶叫系が苦手なのもホラーが苦手なのも僕は知らなかった。
それをまさか悠仁から聞くことになるなんて。
僕の方が少しばかりと付き合いが長いのに。
たった数ヶ月で悠仁との距離を埋めるとは思いもしなかった。
なんて女々しい事を考えてしまう僕に僕自身が呆れてしまう。
もしかしたら最近抜いていないからそう思ってしまうだけなのかもしれない。
だからをセーフハウスへとお招きした。
「なんでだよ‼」
自分の部屋に戻るはずがここにいるのだから、当たり前には激怒した。
「怖くて寝れないんじゃないかと思って」
ベタベタに甘い声を出してそれらしい言い訳を連ねる。
ぎろりと睨む眼光の鋭さは、僕には通用しないどころか加虐心を煽るだけ。
「お風呂一人で入れる?」
「入れるっつーの。何歳児だと思ってんだ、私のこと」
「ねえ知ってた?お風呂入ってる時に、視線とか人影感じるときあるでしょ。その時って後ろじゃなくて上にいるんだって」
「なんで今その話した⁉ふざけんなよ、嫌でも意識すんじゃん」
「うん、だから僕と一緒に入ろっ」
「……最初からそれが目的だったんだろ」
「うん」
にこりと笑えば、盛大にため息を吐く。
こんな話をしておいて一人で入れるわけないよね。
地下部屋から寮に戻るたった数分の距離ですら、怖がっていたんだから。