第8章 修行
満足そうに笑う五条悟に腹が立ってシャワーを出してやった。
私とキスをするために無下限を解いていた男は、頭からびしょぬれになった。
「隙、ありすぎなんだよ」
「へぇ、やってくれたね」
髪の毛を掻きあげて、宝石のような目が私を捕らえる。
さて、ここからどうしよう。
何も考えずにシャワーをぶっかけたが、この後の展開は嫌というほどわかっている。
風呂場の扉は五条悟の後ろだ。
どうにかして切り抜いて、とりあえずここから抜け出さなくては。
私は持っていたシャワーヘッドを外し五条悟に向けて投げた。
それを簡単に払いのける男のその一瞬の隙に、私は五条悟の横を通り過ぎ扉に手を掛ける。
鍵はかかっていない。
急いで脱衣場を抜け、玄関へと向かう。
が、やっぱり捕まった。
瞬間移動ってズルくないか。
逃げられるわけがないだろ。
ズルズルと引きずられ、私は寝室のベッドに投げ捨てられるように放られた。