第8章 修行
その日の夜。
昨日と同じように私は虎杖と一緒に映画を観ている。
が、正直帰りたい。
今見ている映画はホラー映画だ。
普通に怖い。
純粋に楽しむどころの話ではなく、普通に怖い。
幽霊とか一番何してくるかわかんない生き物なのに、なんでみんなして心霊スポットとかに行くんだよ。
それで死んでも自業自得としか言いようがないし、私まで巻き込むなよな……。
「夏油」
「うおわっ!!な、なんだよ虎杖……」
心臓が飛び出たかと思った。
いきなり話しかけてくんなよ。
ツカモトは寝てる。
呪力のコントロールがうまく言っている証拠なんだな。
取り合えず意識はツカモトに。
画面は見ないようにする私に虎杖は声をかける。
「怖いの?」
「こ、怖くねえし。この年で幽霊にビビるとかガキじゃねえんだから」
「怖いんだ。夏油ってさ、すげえわかりやすいよね」
「は?怖くねえって言ってんじゃん!!」
「あ、今普通のシーンだから観れば?」
テレビを指さす虎杖。
それにつられ私はテレビへと目を移した。
画面いっぱいにぐっちょんぐっちょんに溶けた女の幽霊の顔が映っている。
「ああああああっ!!!!」
「あっはっはっはっはっ!!」
「虎杖てめえ!!!騙しやがったな!!めっちゃ怖いじゃんかよ‼」
「やっぱ怖いんじゃん」
恐がる素振りを見せない虎杖がムカついたから、こっそりあいつが飲んでたコーラを思い切り振ってやった。
顔中コーラまみれになる虎杖に私も指をさして笑う。
仕返しくらいしないとな。
やられたらやり返せって言うじゃん。