第1章 復讐
僕の言っていることに彼女は最初こそ戸惑いを見せたが、僕の性格が彼女の癇に障るのか、何度も「殺す」とそう吐き捨てる。
それが嬉しくて、僕は思わず笑みを零した。
そして僕は再び彼女を気絶させ、彼女を縛っている注連縄を解いてやった。
頬に残る涙を拭い、を抱き上げる。
彼女の顔を見ながら、傑がなんで妹がいることを言わなかったのかなんとなく理解してしまった。
だからこそ理解してしまったからこそ、この名前のない約束は僕に重たく苦しくのしかかる。
彼女を生かすために傑は自分の死を利用したのだ。
この子が高専に赴くように仕向けるために。
お前の計画通りに、この子はここに来て僕の監視下にいる。
「くそ面倒な遺言を残しやがって……」
舌打ちをし、今は亡き親友に悪態をついた。
もしここにアイツがいてこの発言を聞いたら、きっと喧嘩が始まっていただろう。
呪詛師になっても敵対した仲になっても、僕を信用してこの子を預けたとするなら、親友に託された約束を僕は守らなければいけない。