第1章 復讐
悲痛な叫びが部屋中に充満する。
と同時に眩暈がする感覚を覚えた。
どういう約束してんだよ。
呆れてしまうほどの歪んだ呪い。
憂太の時とは違う大きな呪いを傑とはお互いに交わしていたのか。
昔から傑のこういうところは理解できなかった。
今も理解できないけど。
「だから言ったでしょ。死刑にするのは心が痛むって。君の死刑は取り消し」
「……は?」
「上はね、騒いじゃいるけどそんなのどうでもいいよ。君を殺すのなんて赤ん坊の首を捻るくらい簡単なんだから」
軽くため息を吐きながら僕はそう言った。
何時だって僕は君を殺すことができる。
それは疑いようのない事実。
だからこそ、生きて欲しいと思った。
いつでも殺せるということは、生きることと同意。
傑が君の生き甲斐だと言うのなら、今度は僕を殺す事を生き甲斐にすればいい。
僕は死なない、殺されない。
僕が生きている限りは、も生きている。
そういう呪いを、僕は彼女に提案した。