第6章 じゅじゅさんぽ【Vol.1】
「お、じゃん。どうした?」
新宿駅に連れてこられた私の目の前にはパンダと狗巻棘がいる。
パンダが新宿にいるせい元々多い人がさらに多くなる。
ハーメルンの笛吹男ってこんな気分なのか。
そんなことを思いながら私はパンダに助けを求める。
「助けてパンダマーン。私悪い人に拉致られたのー」
「たまたま見つけたから連れてきた。コイツもいたら任務早く終わんだろ。そしたら飯でも食いに行こうぜ」
「おっ、いいね~。じゃあ早速向かいますか」
「しゃけしゃけ~」
あれ……おかしいな。
私の声が誰にも届いていないみたい。
ここだけ圏外なんだろうか。
電波を、電波をください。
結局私は逃げ出すこともできずに、のこのことこいつらの任務について行くことになった。
パンダがいるせいなのか、有名なラーメン店ばりに子供が並んでる。
ここは上野じゃねえ。
つうか、狗巻棘がいるのに3人で任務ってどんだけやばい案件なんだよ。
新宿駅から少し離れた場所に伊地知さんが車を止めていた。
それに乗り込み、いざ任務の場所へ。
助手席には狗巻棘が座り、残りは後ろ。
パンダを真ん中にして座席に座れば、伊地知さんが私を見た。
なんでここに?って顔してるけど、私が1番聞きたいわ。
「おい、原寸大シルバニア」
「……それ、俺のことか?」
「お前以外に誰がいんだよ」
「どんなあだ名の付け方?」
車が走ること数十分。
どんな任務なのか聞かされていない私は、任務内容を隣に座っているパンダに尋ねる。
そうしたら「呪霊狩りだ」としか言ってくれなかった。
詳しい内容を話せって言ってんだよ、こっちは。