第6章 じゅじゅさんぽ【Vol.1】
――夏油――
6月の梅雨の時期。
まだ虎杖と野薔薇と出会っていない頃の話。
その日私はなぜか2年の連中と一緒に呪霊狩りに出かけていた。
「……なんで?」
3人の後ろを歩きながら私は率直に出た疑問を投げた。
確か私は一人で新宿に出かけていたはずなんだけど。
「なんでって暇だったからだろ」
「暇じゃねえよ。喫茶店巡りしてたわ」
「それを人は暇って言うんだよ」
お気に入りの喫茶店を見つける旅をし1時間くらい探し歩いて漸く見つけたレトロモダンな喫茶店。
美味しいコーヒーを堪能し、気分がいいまま高専に戻ろうとした時、後ろから声を掛けられた。
ナンパだろうと思ってスルー決め込んだら、思い切り頭をはたかれた。
その力の強さを私は痛いほどよく知ってる。
あ、痛いって物理的な方じゃない。
いや、物理的にも痛かったけど。
「無視すんなよ」
「……誰ですか」
「あ"?」
「こんな怖い人、私、知らない」
「カタコトになってんぞ。オマエ今暇か?」
「暇じゃ……」
「よし暇だな。ついてこい」
え、私の声が禪院真希に届かない。
心が叫びたがってるどころか、既に声で心の声を叫んでるんですけど。
有無を言わさずに私は腕をひかれた。
呪具を持っているところを見ると、任務なんだろうな。