第6章 じゅじゅさんぽ【Vol.1】
伊地知さんに詳しい内容を聞けば、山梨県の青木ヶ原で定期的に呪霊を祓う任務があるらしく、今回それに割り当てられたのが2年だと言った。
交代制、というわけではないがルーティンがあるらしい。
「3ヶ月に一回くらい見回りしねえと、あそこはやべえからな」
「自殺の名所だし、低級の呪霊がうじゃうじゃいるんだ」
「ツナマヨ。明太子」
ある程度祓わないと樹海ではなく呪海になるってことか。
「オマエがいてくれてよかったよ。早く終わる」
「……拉致ったの間違いだろ」
「細かい事は気にすんなって。ゆっ〇ぃも言ってただろ」
「一昔前の芸人の名をだすんじゃねえよ」
ぎゃあぎゃあと騒ぎながら、私たちはいざ樹海の森へ。
ただいまの時刻は午後3時54分。
まだ日は高いが、樹海ってあれだろ。
暗くなれば幽霊が出るんだろ。
なら早く終わらせて帰ろ。
「4人まとまっても意味ねえから担当区域決めて、さっさと終わらすぞ」
「え"っ……」
「どうした」
「………いや、あのさ。せめて二手に別れね?ほら、だってあれじゃん。何かあったら困るだろ」
「困る事ねえだろ。低級しかいねえんだから。もし準一級以上がいたら速攻で逃げればいい話じゃねえか」
うぐ……。
仰る通りです……。
「高菜~。ツナマヨ?」
「なわけねえだろ!!怖くねえし!!全然平気だし!!」
「……怖いのか」
狗巻棘がにやにやと笑っておちょくる。
それに乗っかってしまいつい怖くないと言ったが、ぶっちゃけ怖い。
でも今はまだ明るいから秒で祓って帳から出よ。
入り組んだ森の中を歩くこと数分。
30秒に一回の頻度で呪霊が襲ってきては祓って襲ってきては祓ってを繰り返す。
3ヶ月放置しただけでこんなにうじゃうじゃ溜まるもんかね。
なんか、昔流行ったなめこのゲームみたいだな。
放置すれば放置するだけ繁殖しやがって。