第5章 特級
「若人から青春を取り上げるなんて、許されていないんだよ。何人たりともね」
「そういうもん?」
「そういうもんだよ。大人になればわかる」
「ふーん」
私にはわからないことだ。
頭を乱雑に撫でられその手をはたいた。
「伏黒や釘崎にも内緒か」
「うん」
「なんで?」
「なんでも」
「殺されるぞ、お前」
「あはは、大丈夫でしょ。それよりにも少し手伝ってもらうよ」
「は?何を?」
「悠仁の修行。そしてお前の修行でもある」
「…………断る権利は?」
「ないよ。勝負の負けが結構溜まってたよね。僕との約束、果たしてもらうよ」
にこりと笑う五条悟は、私の頬に残る涙の跡を指の腹で拭った。
眉間に皺を寄せながらも私は五条の約束に、文句はなかった。
私の修行でもある、とこいつは言った。
強くなりたい。
今度こそ、大切な人を守りたいから。
生きていてほしいから。
強くなれるなら、なんだってやる。
「やってやるよ。強くなってやる。その為ならなんだってしてやる」
「そうこなくっちゃ。またあとで連絡するから、今は恵たちの所に合流しな」
こくんと頷いて、私は伏黒達の所へ走って行った。