第1章 復讐
――五条悟side――
札がたくさん張られた部屋で、気絶していたはゆっくりと覚醒した。
ばちっと目が合うと、歯をむき出しにして吠える姿はまさに凶暴な犬そのもの。
彼女の叫びを無視して僕は事実を口にした。
「夏油。君の秘匿死刑が決まったよ」
突然の死刑宣告にも関わらず、は眉一つ動かさなかった。
そうなることをわかっていたみたいに。
上は彼女を殺すことを命じてきた。
僕を殺そうとしたから。
なんていうのは建前だ。
僕にとってそんなのはどうでもいいことだったし、昔からそういうのはあったし、今さら驚くことでもない。
上にとっても僕の命が狙われることは大した問題ではない。
死ぬのは問題かもしれないけど。
彼女を殺す理由はとても単純明快。
夏油傑の妹。
それだけ。
上が怖がっているのは僕が死ぬことではなく、傑と同じことをこの子がするのではないか、ということ。
本当、脳ミソが腐ってる。
対峙した僕だからわかる。
この子はそんなことしない。
純粋に僕を、僕だけを殺そうとしている。
だから上に言ってやった。
「夏油が妙な動きをしたらその時点で殺す。それまでは僕の監視下に置く」と。
上は騒いでいたが、知るか。
臭え先走り汁しか垂れ流せない糞ジジイどもは黙ってろって話だ。