第1章 復讐
「僕を殺すことを生き甲斐にすればいい」
「お前、自分で何を言っているのかわかってんのか」
「わかってるよ。どうせ君に僕は殺せないし」
「殺す。絶対に殺す。ムカつく。殺す」
「あはは、じゃあ強くなって見せてよ。僕は君を立派な術者に育ててあげよう」
「いらない。お前に教わることは何もない」
「あはは、すごい生意気。いいね。ねじ伏せたくなる。でも、僕を殺したいなら強くならなきゃ。自分が一番わかってるんじゃないの?」
言葉を飲んだ。
正論だ。
今さっきのアレでわかった。
私はまだ五条悟の足元にも及んじゃいない。
いや、足元どころか天と地ほどの差がある。
それくらい五条悟は強かった。
「呪術界最強」という肩書を私は少し舐めていた。
「………どう?この条件。結構おいしいと思うんだけど」
自分の命を天秤にかけてまで私を生かす男の目論見がわからない。
わからなかったけど、私はその条件を飲んだ。
私は五条悟を殺す。
その代わり、殺す人間から呪術を学ぶ。
傍からみたら意味がわからないことだろう。
それでも今の私にはそれしか選択肢がない。
「破ったら殺す」
「どっちにしろ殺すんじゃん」
ケラケラと笑う男は、私の額を人差し指で突いた。
瞬間、私の意識は再びブラックアウトした。