第5章 特級
その条件とはあまりにも難しいが、時期を見誤らなければ至極簡単に揃う。
「五条悟を戦闘不能にし、両面宿儺・虎杖悠仁を仲間に引き込む」
「死んだのであろう?虎杖というガキは」
「さぁ、どうかな」
私は小さく笑みを零した。
が、漏瑚にとっては虎杖悠仁の存在はどうでもよかったのか、話題は五条悟へと戻される。
「五条悟。やはり我々が束になっても殺せんか」
「ヒラヒラ逃げられるか、最悪、君達全員祓われる。"殺す"より"封印する"に心血を注ぐことをオススメするよ」
「封印?その手立ては?」
私の言葉に、漏瑚は眉を潜めた。
「特級呪物"獄門疆"を使う」
それともう一つ。
あれが無くてはこの計画は成り立たない。
獄門疆、その名を聞いた漏瑚は興奮したのか頭の火山が沸騰する。
気温が高くなるからやめて欲しいんだけど。
すぐに興奮する癖、どうにかならないかな。
「漏瑚、興奮するな。暑くなる」
そう言うけどこの興奮はしばらく続くだろう。
「お客様。ご注文はお決まりですか?」
その時、ウェイターのひとりが私達のテーブルへとやってくる。
どうやら4人掛けのテーブル席に一人で座り、何一つ注文しないことに痺れを切らしたらしい。
何も見えないと言うのは幸せなことだ。
ウェイターの体は一瞬にして炎に包まれ真っ黒く焦げ落ちる。
「あまり騒ぎを起こさないでほしいな」
このことが高専に知られ私の姿を見られては計画が台無しになってしまう。