第5章 特級
そんな思いなどつゆ知らず、漏瑚はにやりと不敵に笑い、店の中にいた非術師全員を焼き殺した。
火山だからかすぐに頭に血が上るんだ。
少しは私の事も考えて欲しいね。
「高い店にしなくて良かったよ」
人間の肉の焦げる匂いと煙の臭いに咳を一つ零す。
ああ、唇のあたりが焼け死んだ人間の脂肪でベタつく。
コップの水を一口飲み込むが、あまり効果はない。
「夏油。儂は宿儺の指何本分の強さだ?」
「甘く見積もって8、9本分ってとこかな」
本当に甘く見積もってだけど、それでも漏瑚は嬉しそうに満足そうに笑う。
「充分。獄門疆を儂にくれ!!蒐集に加える。その代わり、五条悟は儂が殺す」
その実力で五条悟に勝てるとは思えないが。
まぁいいだろう。
好きにすればいい。
私は高みの見物をさせてもらうよ。
そろそろこの場を立ち去らなければ。
高専に連絡が入り面倒なことが起きても困る。
店を出て、私達の隠れ家へと向かう。
その帰りに漏瑚に釘を刺しておいた。
「もし夏油と遭遇した場合、殺してくれるなよ」
「夏油……?」
「私の大切なかわいい妹だよ」
くすくすと笑えば、漏瑚は少し怪訝な顔をしたが何も言わなかった。
私の可愛い妹。
君は、私の計画に必要な重要人物。
君ほどの利用価値のある人間はいない。
いつか挨拶にしに伺うよ。
その時は、私のために働いてもらうからね。