第1章 復讐
「仕方がねえから殺すのかよ‼だったらお前らだって人殺しじゃねえか!!お兄ちゃんと何が違うんだよ‼正義の味方気取りかよ!!たった一人の家族だったのに!!ずっと待ってたのに……!!ずっと待ち続けた私の気持ちは見ないふりなのかよ。ずっと、ずっと待ってたのに……。また戻ってくるって言うから、それだけを信じて。苦しかったけど、辛かったけど、また一緒に過ごせるから。それだけが私の生き甲斐だったのに!!……お兄ちゃんが、死刑になるって、なったら。私が殺すって約束、してたのに……。お兄ちゃんを殺して、私も死ぬって。そう言う約束、してたのにっ……!!」
こみあげてくる何かは、頬を伝って顎の先で大渋滞を起こしていた。
あんなに泣いたのに。
涙は枯れる事を知らないのか。
ぐしゃぐしゃに顔を濡らす私の耳に五条悟の深いため息が聞こえた。
「だから言ったでしょ。死刑にするのは心が痛むって。君の死刑は取り消し」
「……は?」
「上は騒いじゃいるけど、そんなのどうでもいいよ。君を殺すのなんて赤ん坊の首を捻るくらい簡単なんだから」
さらっと怖い事言いやがった。
どこが優しい性格だよ。
訂正した方がいい。
こんな奴とお兄ちゃんが親友だったなんて絶対認めたくない。