第1章 復讐
拘束部屋へと連れていかれる彼女を見送りながら、僕は考えた。
さて、どうやって彼女を死刑から助けようか。
どうせ上は秘匿死刑にしろと言ってくるに違いない。
憂太の時と同じだ。
危険分子は排除。
自分たちのことしか考えてない老いぼれ糞ジジイ共の保身のために、彼らが謳歌するべき青春を奪わせるわけにはいかない。
その権利は誰にもないんだから。
「つうか、妹いたのかよ……」
つい本音が零れた。
妹がいるなんて一言も聞いていない。
家族は全員殺したと思っていた。
言わなかったのか言えなかったのか。
あの時「妹がいる」って一言でも言ってくれればいいだろうが。
「はぁ~」
深いため息を吐いた。
にしても、夏油って言ったっけ。
あの子の術式……、いや呪力は変わっているな。
もう少しこの眼で見たい。
そう言う意味でもなんとしても彼女を秘匿死刑から逃す術を考えなくては。