第5章 特級
――夏油side――
虎杖と釘崎が高専に来て早3日。
東京観光ができなかった二人はリベンジと言わんばかりに授業が終われば、都内へと出ていた。
私はここ最近ずっと任務続きだった。
「あんたまた任務なの?」
「まあ」
「いつ私と遊びに行けるのよ」
「明後日は休みだから」
「じゃあその日に遊びに行くわよ。虎杖と伏黒も一緒だから」
「俺もかよ……」
「俺スクランブル交差点行ってみたい!!」
「ただの交差点なんだけど」
教室でそんな話をしながら、私は任務に行く準備をする。
3日間ずっと任務続きで休む間もない。
家に帰るのも深夜を回っている。
そんな毎日を過ごしているからか正直疲労は溜まっていた。
だから明後日の休みはゆっくりしたかったけど、釘崎に遊びに行こうと一方的ではあるが約束されたら、それを果たすしかない。
「夏油、気を付けろよな!!」
「行ってらっしゃい」
「……まぁ、頑張れ」
三者三様のお見送り。
私はそれを聞いて、教室の扉を閉めた。
正直に言うと、任務は秒で終わった。
なんでこんな任務に私が駆り出されたのかわからない。
虎杖や釘崎は入学したばかりだからいいとして。
こんなの伏黒でもいいだろうと思ってしまう。
それでも私指名で任務が来ているのだから拒めないけど。
首の骨を鳴らし、補助監督である伊地知さんが待つ場所まで戻る。
車に乗り込み、大きく息を吐いた。
「ため息吐くと幸せが逃げるよ」
隣から聞こえた声に私は壊れたおもちゃのような鈍い動きで、それを目視した。
なんでこいつがここにいんだという声は、言葉にならずにただパクパクと魚のように開閉されるだけ。
伊地知さん曰く、途中で拾ったらしい。