第4章 対面
――伏黒恵side――
「さて、ここでクエスチョン。彼をどうするべきかな」
五条先生はそう俺に尋ねた。
虎杖悠仁という男は、俺らを助けるために危険な特級呪物である両面宿儺の指をくらった。
あいつはきっとそれがどれだけ危険なものかを知らないから、そんなことができたんだと思うが、それでも普通はそんなことはしない死できない。
ついさっきまで普通の高校生だった奴が。
正しいか正しくないかは、正直わからない。
だけど、俺は。
「……仮に器だとしても、呪術規定にのっとれば虎杖は処刑対象です。でも死なせたくありません」
「……私情?」
「私情です。なんとかしてください。夏油の時みたいに」
夏油の名を出せば、五条先生の眉は少しだけ動いた。
「夏油の処刑を取り消しにしたんでしょう」
「に聞いたの?」
「いえ。禪院先輩から」
聞かなくてもそうではないかとは思っていた。
夏油傑の妹となれば上の連中は黙ってはいないだろうし。
どうにかして処刑を免れたのだったら、今回もなんとかできるだろう。
「夏油もきっと俺と同じこと言うと思いますよ」
この言い方は自分でもズルいと思った。
ほんの僅かばかり夏油に甘い五条先生。
あいつの名前を出せば、多少なりとも無理はするんじゃないかと踏んだ。
その結果。
虎杖は執行猶予付きの死刑となった。
これでも頑張ったんだよ、と唇を尖らせる五条先生に俺は何も言わなかったけど、すぐには死なないと言う事なのであればそれでよかった。
今後虎杖は、俺や夏油と同じ呪術師の学校へと転入する。
右も左も分かんないだろうが、たぶんこいつなら大丈夫だと思う。