第3章 受胎
そう思って、口を開いた瞬間。
腹の奥がぐるりとかき回される感覚がした。
一気に大量の汗が私の全身から噴き出る。
「はっ……ぐぅっ……」
排泄の時とは全く違う。
漏れ出る声を必死に抑え、口を押える。
ここで吐くなんてことはできない。
「高菜!!」
「おい、大丈夫か⁉」
「気持ち悪いのか、吐け!!」
女の言葉に私はフルフルと首を振った。
それでも断片的に続く吐き気に、息が浅くなる。
指先から全身へと震えが止まらない。
直感した。
産まれると。
こんなところでこいつらに見られるとかありえない。
だけど、立つことさえままならない。
私は女の制服の裾をぎゅっと掴み、掠れる声で家入硝子の所へ連れて行くように頼んだ。
3人は戸惑った様子を見せたが、一度頷くとパンダが私を抱きかかえ、医務室へと運んだ。
何時吐いてもいいように、その口には女が持ってたハンカチがあてがわれている。
医務室の扉を開け、私はベッドに横になった。
事情を知らない3人は詳しい事情を聞きたそうにしていたが、それは後で説明すると、遠い意識の場所で家入硝子が言っていた気がする。
私は我慢できなかったそれを吐き出した。
目じりから零れる涙は、頬を濡らす。