第3章 受胎
ぼうっと、晴れた空の下、鳥のさえずりや風の音などに耳を澄ませていた。
時折吹く春の風は心地が良くて、眠気が襲ってくる。
地面に寝転がり、少し寝ようかと瞳を閉じた時誰かの気配を感じた。
「何か用かよ」
そこには、2年の3人が私を見下ろすように見ていた。
喧嘩を売りに来たなら買うけど。
その時、一人足りないことに気づく。
あの軟弱そうな男はどこに行った。
「憂太なら海外だよ」
「誰も聞いてねえし」
「そういう顔してたぞ、お前」
ニヤニヤと笑うパンダ。
何がおかしいんだ。
「悪いけど、今お前らと喧嘩する気分じゃないから」
「生意気な奴だな。喧嘩しに来たわけじゃねえ。お前と語り合うために来たんだ」
「語り合うって、拳でか?」
「おかか」
「喧嘩じゃないって言ったろ」
なぜか3人は私の近くに腰を下ろす。
これは本当に喧嘩をしに来たわけじゃなさそうだ。
ほっと息を吐く。
この状態で喧嘩なんてしたら確実に私が負ける。
暖かい空気の中静寂の時間が流れる。
語り合うために来たんだよな、こいつら。
なんでこんなのんびりしてんだ。
誰か話せよ。