第3章 受胎
「夏油」
「なに」
「言っておくが、それは呪霊だ。人間じゃない、わかるな」
「……わかってるよ。言われなくてもな」
わかってる。
そんな事。
この私が一番。
だけど、守りたいと思ってしまう自分がいるのも確かだ。
殺したく、なんてない。
私は医務室をあとにし、寮に戻った。
鍵を厳重にかけ、誰も部屋に入ってこれないように。
一人で、産んで見せる。
そう決めたのは、誰かの手でこの子を殺してほしくなかったから。
殺すなら私が。
私がこの手で殺す。
目頭が熱くなったが、同情はしない。
同情した結果がこれなら、もう同情など。
数日後。
それはきた。
その日。
私はたまたま部屋を出ていた。
ずっと部屋に引きこもっているのも疲れたため、気分転換で高専の敷地内を散歩していた。
五条悟にはしばらく休むことは伝えていた。
一人で産むと言う事も。
意外にも男は素直に頷いて、少しだけ拍子抜けしてしまった。