第3章 受胎
「お前、何か隠してないか」
その日。
学校へ行くとウニ頭改め伏黒が私にそう聞いてきた。
そうか、こいつ何も聞いていないのか。
まぁ、言う必要もないけど。
「なにも隠してねえよ」
「じゃあなんで任務最近行かねえだよ」
「……行ってるわ。お前の知らないところで」
「今の間はなんだよ」
「るせえな。なんでいちいちお前にそんな事言わないとだめなんだよ。姑か」
伏黒なりに心配してくれているんだろうが、余計なお世話だ。
言えるわけねえだろ、五条悟とセックスしてるなんて。
「とりあえず、ちょっと体調がよくないだけ。お前に心配されるほど弱くねえわ」
「どこ行くんだよ。授業始まるぞ」
「便所だよ。言わせんな」
「せめてトイレって言え」
席を立って、私は教室を出た。
向かう先はトイレではなく家入硝子のところ。
「どうだ、最近」
近況報告ということで家入硝子にここ最近の体調を伝える。
最近食欲は落ちるわ、匂いで吐くわで、体調はすこぶる悪い。
「もう少しかな」
「生まれるのが?」
「ああ」
「そっか」
軽く腹を撫でれば、腹の子はごろりと動いた。
一般的な妊婦と違い、私の腹は大きく膨らんではいない。
でも、ちゃんと私の中に赤ちゃんはいる。
産まれて来るのか、あと少しで。
命を宿して。