第26章 事変
「"閉鎖"!!」
空中に浮かぶ目に見えないほどの粒子の塊は、隣の粒子と呪力で繋がり網目状の格子となり、魔虚羅を閉じ込める。
少しでも私の呪力に触れれば、触れた個所は切断される。
やればできんじゃん、私。
額やこめかみから大量の汗が噴き出た。
「はは、まだ不格好だな……」
その証拠に、粒子は少しずつ崩れていっている。
だが、大丈夫だ。
私はそう簡単に諦めたりしない。
呪力量を上げた時、魔虚羅は小さく動き右腕を横へと払った。
それだけだ。
それだけなのに、私の術式は破られた。
いとも簡単に。
魔虚羅の右腕は無数の切り傷がついていたけど、切り傷程度かよ。
呪霊ならそれで倒す事ができんのに!!
「いっ……!!」
油断、したつもりはなかった。
そう。これは動揺だ。
目の前の魔虚羅に手も足も出なくて、術式も破られて。
喪失、と言ってもいいかもしれない。
一瞬の隙が魔虚羅の攻撃を許してしまった。
咄嗟にガードしたが、術式を簡単に破るほどのパワーとスピード。
呪力で己を守ったところで虚礼虚文、無意味だ。
魔虚羅の右腕が私の胸と喉を貫いた。
ごぷり、と腹の奥からこみあげる異物感。
口を開けばびちゃびちゃと真っ赤な液体が地面に飛び散った。
貫かれた喉からも赤黒い塊があふれ出る。
ヒューヒューと喉から空気が漏れている。
上手く呼吸ができない。
指先が冷たくなっていくのに、胸から上は焼ける様に熱くて。
そっか……。
私、死ぬのか。
せめて伏黒を安全な場所に連れて行きたかったな。
横目で伏黒を見ると、その隣にはなぜか虎杖……ではなく宿儺の姿があり、伏黒の胸に手を当てていた。
なんで宿儺が……?
「……ゴボッ、バゴボ……」
ああ、くっそ……。
声が出ない……。
あふれ出る涙が頬を濡らし、私はそのまま意識を手放した。
意識を手放す直前、名前を呼ばれたような気がしたけどたぶんきっと気のせい。